2003年6月 トランスペアレンシー・インターナショナル四季報

理事長から

腐敗・汚職と戦って10年

 わずか10年前までは、腐敗・汚職というのは政策策定者が触れたくない扱いにくいテーマでした。今日では、この問題は発展と経済成長にとって最大の障害になるのだという認識がますます共有されるようになってきています。これは考え方の根本的変革を意味するものです。

 当初は、腐敗防止NGOを立ち上げるという考えは、敵意を持って迎えられました。しかし腐敗・汚職は人権や環境、持続的成長への脅威であり、もはや無視できないといった懸念が世界中の人々に共有され、このことが我々の運動の力になりました。

 2003年は、TIの活動が一巡し、原点回帰した年です。10年前、世銀のプログラムの中で腐敗・汚職への取り組みを開始すべきだと主張しましたが、私の意見は採用されず、私は、ふさぎこんだ状態で世銀を去りました。今年、理事会、諮問委員会、世界中の支部代表といったTIの派遣団が、ジェームス・ウォルフェンソン世銀総裁の招きで、丸一日かけて腐敗・汚職への取り組みについて率直でオープンな議論を行いました。1992年、腐敗・汚職が経済を麻痺させているという思いを抱きながら、私はケニアを離れました。ナイロビへの最初の訪問から10年を経て最近、舞い戻りました。今やケニアはまったく別の国になったと言ってよいでしょう。新大統領は腐敗との戦いを宣言しました。民衆の間には楽観的な見方が溢れています。

 もうひとつのうれしい兆候は、腐敗防止活動家が世界中の政府や国際機関で影響力のある地位に就くようになっていることです。ケニアでは、地区支部の常務理事でTIの前理事でもあったジョン・ギトンゴが、ムワイ・キワキ大統領府でガバナンス・倫理担当の永世大臣に任命されました。また、TIの理事でアルゼンチン支部長であるルイス・モレノ・オカンポが国際刑事裁判所(ICC)の初代主席検察官に選出されています。韓国では、TI韓国の高建理事長が、1月、首相に任命されました。さらにチリでは、TIの地区支部長であるルイス・ベイツが、このほど司法大臣に任命されました。これらの面々がTIの支部を去るのははなはだ残念ですが、公職への登用が増えていることは、それだけ政治的な志(こころざし)が高まっていることの有望な兆しなのでしょう。

 トランスペアレンシー・インターナショナルが設立されて10年の間に、汚職との闘いには弾みがつきました。短期間に多くのことが実現し、多くの約束がかわされました。TIは今後とも政府や民間部門と関わり、指導者たちが腐敗防止のコミットメントを実行するよう確認し、かつその説明責任を果たさせるよう、市民社会の「ウォッチ・ドッグ」(番犬、監視役)として行動していきます。

ピーター・アイゲン、    トランスペアレンシー・インターナショナル理事長 

 

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最終更新日 : 2003/12/25