8月の10大腐敗・汚職報道
1.
1. 「不祥事のデパート」は今月も多忙(警察官腐敗)
2. ドタバタが続く平成のお家騒動(道路公団問題)
3. 結果責任の欠如
(行政の非効率性)
4. 「ゴキブリ理論」を適用せよ(医学部名義貸し問題)
5. 「役所の常識」、「世間の非常識」(牛肉セーフガード)
6. 収奪マシーンに透明性を
7. 地方ボス型政治の破綻(旅田和歌山市長問題)
8. 平成の大バーゲンセール(官製不良資産処分)
9. 役人天国日本は今日も安泰?
10.「トカゲのシャッポ」は何処に居る?(企業不祥事)
11.番外編――フジモリ問題
12.グッド・ニュース
(1)地方の反乱
(2)オンブズマンの活躍
1.「不祥事のデパート」は今月も多忙(警察官腐敗):
8月も警察官を巡る不祥事は多彩であった。
「襲撃・威嚇射撃を自作自演、警官を書類送検…神奈川」(読売:8.2)、
「盗撮:検察事務官を逮捕 兵庫県警鉄警隊」(毎日:8.2)、
「同期会帰りにわいせつ行為、福岡県警機動隊員を逮捕」(読売:8.4)、
「わいせつ告訴の女性「うそでした」 男性は逮捕で廃業」(朝日:8.5)、
「神奈川県警元警部補ら、少年事件など百数十件放置」(日経:8.6)、
「110番で駆けつけた居酒屋で現金窃盗容疑、警官逮捕」(朝日:8.7)、
「茅ヶ崎署の事件放置、元生活安全課長3人を懲戒処分」(読売:8.7)、
「少年事件など250件放置 元上司ら3人を処分――神奈川県警茅ケ崎署」(佐賀:8.7)、
「わいせつ警官を略式起訴 佐賀県警、本人は辞職」(佐賀:8.7)、
「岡山県警警部補が酒気帯び運転で衝突事故」(読売:8.10)、
「交番の巡査長、盗難届に応対しながら女性盗撮 兵庫県警」(朝日:8.13)、「小1女児はねた事故届け出ず、巡査長を書類送検…京都」(読売:8.14)、
「少年事件を放置した巡査部長ら4人処分 埼玉県警」(朝日:8.15)、
「110番で出動し飲食店から5千円盗む、警官を懲戒免」(読売:8.27)、
「巡査長が脇見で正面衝突 乗用車の夫婦は重軽傷」(佐賀:8.28)、
「交番内で盗撮の警官、別の女性も…画像200枚保存」(読売:8.30)、
「3警官を処分 所持品検査が不十分 愛媛県警」(産経:8.30)。
ご覧のように現場警察官の犯罪は、哀しくなるほど侘しいものである。
一方で、朝日新聞(8.8)によれば、今年上半期(1〜6月)の殺人や強盗(いずれも未遂などを含む)など重要犯罪は、1万1304件で前年同期より2割近く増え、統計の残る89年以降で最悪になり、検挙率も48.6%と初めて5割を切ったという。
警察庁はこれにつけ込むように3年間で1万人の警察官増強を発表した。東京都に続き、神奈川県も治安対策の理事に現役の警察幹部を採用すると発表、高級幹部は新たな就職先を拡大している。
警察の「焼け太り」は留まるところを知らず、市民は自己防衛を真剣に考えなければならない時代になりつつある。
2. ドタバタが続く平成のお家騒動(道路公団問題):
この茶番劇もそろそろ大団円を迎えるだろうとの期待に反して、8月は更なる混迷に陥った。
内部告発者を支援すべく公団OB達も総裁の辞任を要求したが、総裁派は告発者を解職し、刑事告訴に持ち込む傍ら、問題の財務諸表は会計事務所による「計数検証」と言う姑息な方法で幕引きを図った。
一方、各地の高速料金別納組合の脱税や政治家へのカード不正貸与、更には偽造回数券まで出回り、簡単に不正利用されるお粗末な「武士の商法」も露呈している。
それにも拘らず、天下り先のファミリー企業には1298億円もの余剰金を溜め込ませている。
総裁更迭は時間の問題と言われて久しいが、たった一人の叛乱者しか出ないような組織の再生には、革命的な手術が必要であろう。
中間搾取機構であるファミリー企業を解体し、その剰余金を国庫に返還すると同時に、ファミリー企業の業務を民間の競争入札とすることだけでも公団の収益改善と産業活性化に大きく役立つのだが・・・・。
3.結果責任の欠如(行政の非効率性):
わが国では、民間も役所も外部への透明性や説明責任への意識が乏しいが、企業にはまだしもそれなりの結果責任が伴う。
行政の問題は、その結果責任が欠けていたり、少なくとも容易に隠蔽・先送りが出来ることである。
その結果として、今月の報道だけでも次のような事態が平然と報道される。
「国民生活公庫、1071億円の「債務超過」」(日経:8.1)、
「政府管掌健康保険、5600億円赤字で積立金枯渇」(日経;8.1)、
「厚年基金連合会の積立不足1兆9000億円に倍増」(朝日:8.2)。
そして、公務員への高額贈与報告で倫理審査会幹部が接待1位となっても、「国民の疑惑や不信を招くようなものではない」とうそぶく(佐賀:8.2)。
情報公開制度によって、透明性に少しは進歩が見られだしたとはいえ、もともとの結果責任を問うシステムを確立しない限り、真の改革は起こりえない。
4. 「ゴキブリ理論」を適用せよ(医学部名義貸し問題):
山崎豊子の「白い巨塔」を読み返すまでもなく、わが国の医者達は特異な世界の得意な種族であった。この国の社会システム全体が緩やかな崩壊に向かう中で、そのような特殊社会も変化が避けられなくなっている。
病院の半数が破綻状態にあるといわれている中で、ボス教授率いる医局制度と言うサル型社会は持続不可能である。
北大医学部を端緒に、旭川医大、東北大、札幌医大と、次々に発覚した医師名義貸し問題は、氷山の一角に過ぎない。
一匹のゴキブリが見つかれば、最低5匹のゴキブリがあるはずという「ゴキブリ理論」を是非適用し、所管官庁の一斉摘発のみならず、医療行為の消費者たる市民を含めた調査団による徹底検証を行うときである。
5. 「役所の常識」、「世間の非常識」(牛肉セーフガード):
「官」から「民」へ、「国」から「地方」へ、と言う標語は、小泉内閣のキャッチ・フレーズのみならず、一般常識になりつつあるといえる。
同時に、数々の不祥事を受け、「業者」から「消費者」へ、という流れも明らかになった。
にも拘らず、農水省(に限らないが)という役所は、緊急輸入制限措置(セーフガード)という規定を杓子定規に適用し、狂牛病問題で需要が大幅に落ち込んだ昨年度輸入実績を基準に関税引き上げに踏み切った。
驚くべきことは、同時に仕入れ価格上昇で悪影響を受ける流通業者向けの金融支援を検討する一方、関税引き上げに伴う増収分は畜産農家向けの生産振興に使う方針とのことである。消費者保護としては、便乗値上げをした業者名を公表することでお茶を濁す。
狂牛病問題でも、行政には消費者保護の姿勢は見られず、業者保護に走る余り稚拙な対応策を悪用されたという経緯があるが、ここにも旧来からの業者保護という発想しかない。
いずれ時代はこのような役人を押しつぶすことになろう。
6. 収奪マシーンに透明性を:
何処の国でも程度の差はあるが、収入と支出の責任体制が分断されているために、財政の失敗が多い。
取り分けわが国は徳川封建制度を引きずっているために、租税収奪を行うと共に、利権集団への配分が拡大していき、先進国で類を見ない巨額の債務を作り上げてしまった。
この結果、歳入側に更に圧力が加わるため、「マルサ」の活躍が目立つことになる。
ところがここに来て、収奪される側も反撃を始め、その成果が上がるようになって来た。
今月のニュースから言えば、ひとつは東京都が突然大手銀行に課した外形標準課税が敗訴となり、都側が和解に歩み寄ろうとしていることである。
もうひとつは、経営者が会社から受けたストック・オプションについて給与所得という税務署の認定を否定する判決が出たことである。
オカミの判断には逆らえない、ましてマスコミを利用した脱税というリークには耐えられないという意識は変わりつつある。
税務当局も恣意性を排除した透明性ある課税基準を持つべき時代に来ている。
又、東京都には和解するにせよ、敗訴するにせよ、多額の負担が生じ、その最終負担は結局都民に行かざるを得ない。
苦難の銀行を更に追い詰める闇討ちのような行動であったわけで、それが失敗に終われば、明確な形で結果責任を示す義務があろう。
7. 地方ボス型政治の破綻(旅田和歌山市長問題):
7月は土建王国埼玉県で永年権勢を誇った土屋知事が瞬く間に政界から消滅してしまったが、今月は和歌山市長の凋落を見ることとなった。
旅田和歌山前市長に関する報道を見ると、女性問題、役所への強権支配、側近による偽装工作等々地方政治ボスの典型的行動が窺える。
同時期に油布院町長も贈収賄で逮捕されており、地方政治の相変わらずの後進性をさらけ出してしまった。
腐敗政治家は勿論悪いが、そのような政治家を利用する市民が一番悪いと言うことも真実である。
その意味で、埼玉県の出直し選挙で、民主党前議員の上田清司氏が当選したことは、市民の意識が向上した証左であることを願いたい。
8. 平成の大バーゲンセール(官製不良資産処分):
バブルで大きな傷を負ったのは企業だけではない。政府部門も同じであるが、その処理は民間よりは遥かに遅く、姑息なものであった。
だが、政府もここに来て漸くバブルの清算を図ろうとしている。
金融機関が巨額の債権棒引きを行っても、責任を追求されないことに安心感を抱いたのか、行政もこれまでのような収益法人に債務超過法人を吸収させるような手法から積極的な投売り活動に入り始めた。
厚生労働省所管の特殊法人「雇用・能力開発機構」は、勤労者福祉施設を1050円などで自治体に「投げ売り」し、約234億円も目減りさせた(読売:8.5)ことは、テレビでも興味本位で取り上げられた。
わが国の産業再生の機種として政府筋から期待されている、官製バイアウト・ファンド「産業再生機構」が漸く4件の取り上げを決めたが、そのうちの2社に有する特殊法人の巨額債権はこの間隙を縫って大部分が放棄されることになる。
再生機構の使命は会社の再建であるが、失敗すれば最終負担は国民が負うことになる。
3兆円以上の国費を投入している国有化銀行の行方と共に、間違えば不良企業の山を抱える社会主義国家に逆戻りするか、再度平成のバーゲン・セールを行うことになりかねない。
それを避けるためにも、ファンドの雇われ社長などではなく、最終的に結果責任を負う人間を明らかにしてほしい。
9. 役人天国日本は今日も太平?
デフレ不況が続き、失業率が一向に改善しない経済状況の中で、市民は明日に憂い悩んでいる。これと対照的に、わが国の役人は太平を謳歌している。
今月も、役人や天下った連中の優雅振りを報道した記事が続く。
「「実態ない顧問料」2億円 住友信託など郵政天下り先に」(朝日:8.30)は、税務署が銀行を脱税行為として摘発したものであるが、本質は郵政の運用資産がほしい銀行から天下り官僚の手当てを拠出させていたものである。
「退職時「お手盛り昇給」46都道府県で実施…読売調査」(読売:8.4)、
「廃止まぎわ退職金2倍のお手盛り…福島県住宅供給公社」(読売:8.6)、
「給与補助:OB天下り先に補てん 北九州市」(毎日:8.31)、といった記事も氷山の一角であろうが、相変わらず身内への手当ては厚い。
極め付けは、京都市の職員99人が市営住宅の家賃を滞納していたことが市民団体の監査請求で明らかになったことである。中には10年にわたって滞納している職員が11人も居ると言う(産経:8.30)。
市長を始め幹部の部下管理責任は何処に行ったのだろうか?
10.「トカゲのシャッポ」は何処に居る?(企業不祥事):
今月も企業を巡る不祥事は相次いだが、「トカゲのシャッポ」は姿が見えない。
まず、高圧ガス管の保安検査を巡って、今年5月に東ソー、8月には日本石油の子会社の日本石油精製と三井化学が経産省などに実施済みと虚偽報告を行っていたことが発覚した。
又、三重県多度(たど)町の「ごみ固形燃料(RDF)」発電施設では、ずさんな管理の結果消防士2人が亡くなる事故が発生した。
JRバス関東や名鉄バスでは、酒気帯び運転や無免許運転が相次いで発覚した。
金融関係でも、金融庁がみずほインベスターズ証券(東京)に証券取引法で禁じている「誤解を生じさせる表示」をしたとして業務改善命令を出している。
いずれも「トカゲのシャッポ」が知らなかったという言い訳が通りにくい事件であるが、経営者の顔は一向に見えない。
会社消滅に至った雪印食品の教訓は忘れ去られたようである。
未だに消費者や市民ではなく、業者に顔を向けている役所は勿論、消費者もまた企業には優しすぎるのだろう。
11.番外編――フジモリ問題:
トランスペアレンシー・インターナショナルの本部とペルー支部は8月末に連名で川口外務大臣にフジモリ氏のペルー召還を要請した。
アムネスティー・インターナショナル等のNGO組織も早くに同様の要請をしており、わが国では政府もマスコミも取り上げないが、カーター元大統領も小泉首相に書面で要請を行っている。
わが国政府は、日本国籍の保有者は特別の条約がない限り外国政府の引き渡し要請には応じないという「逃亡犯罪人引渡法2条9号」を盾にとってようであるが、そもそもの日本国籍取得の経緯に透明性を欠く上、成人には二重国籍を認めないはずではなかったのか、という疑念がある。
一方で、「バナナ・リパブリック」のような国で公平な裁判などはあるのかとか、もっと残虐・非道な独裁者が亡命を認められているのに何故フジモリ氏だけを追及するのかとか、開発独裁には暗部は避けがたく、貢献度も評価すべき等々の意見もあるようだ。
わが国がどのような国家なのかという観点からフジモリ問題を考えるとき、北朝鮮の拉致問題との対比が有益と思われる。
日本政府のタテマエ上の立場は、フジモリ氏が日本人だから保護するという風に思われる。そうだとすれば、北朝鮮が拉致したと公言し、返還した人たちの、明らかに日本人である子供達の救済に政府が奔走しないのは一貫性を欠く。
いずれの問題も、無辜の市民を切り捨てる一方、VIP待遇の人物は保護するというダブル・スタンダードの官僚が解決できるレベルのものでも、すべきレベルのものでもない。
正しいか否かは別にしても、この2つの問題は「超法規的処置」をも取りうる一国の総理が決断すべきものである。
「丸投げ」の寸言宰相として歴史の闇に埋もれてしまうか、平成の大政治家となるかの試金石のひとつとなるものである。
12.グッド・ニュース
腐敗・汚職報道が蔓延するわが国であるが、それでも改革の動きが細々ではあるがないわけではない。
以下はそのようなグッド・ニュースの一部である。
(1)地方の反乱;
土屋土建王国が崩壊し、出直しの埼玉県知事選挙で市民派の上田清司氏が当選し、首都圏の知事は従来の保守利権派から大きく変貌を遂げた。
「国」から「地方」へ、という政治の流れは不可避なものになろうとしている。明治維新が地方から始まったように、わが国の改革は地方から促進されてい
くだろう。
そのひとつの現われとして、「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)の知事・市長連合会議が地方税財政の「三位一体」改革に向けて、約9兆円の国庫補助負担金を廃止して地方に約8兆円分を税源移譲することを求める緊急提言をまとめた(佐賀:8.28)。
このような動きが、「燎原の火」のように全国に拡大していくことになれば、わが国にも真の民主主義革命が起こるのであろう。
(2)オンブズマンの活躍:
全国市民オンブズマン連絡会議は8月末に仙台で第10回大会を開催したが、それに先立つ28日、地方自治体が02年度に実施した外部監査についての採点結果を発表した。
「AからEまでの5段階評価で、4自治体がAとEになった」(毎日:8.29)というような地道な相対評価が、説明責任の自覚に乏しく、透明性を欠く組織体への刺激となり、変革の一歩となる。
(K.Y)
2003.9.2