12月9日は国連の「国際腐敗防止の日」です。

 

2006年12月6日

 

NPO法人トランスペアレンシー・ジャパン(TI−J)

理事長 黒田達郎

 

「世界腐敗バロメーター2006」の発表

 

ベルリンとブラッセルで2006年12月7日、現地時間午前11時に腐敗防止の国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナル(略称TI、本部ベルリン)が「世界腐敗バロメーター2006」(Global Corruption Barometer : GCB)を発表しました。

これは国連が定めた12月9日の「国際腐敗防止の日」にちなんで発表されるものですが、日本国内では、まだ十分に周知されていません。

この調査は2003年から始まって今回が第4回目です。世界62カ国、15歳以上の一般市民約59千人(日本では約1,200人)を対象にし、2006年7月―9月に実施されました。調査したのはギャロップ・インターナショナルとその提携機関です。

 

発表の骨子

 

1、過去1年間に賄賂を支払った経験がある人の割合は全世界で9%。アフリカでは36%、ラテン・アメリカでは17%、アジア・パシフィックでは7%です。日本では3%です。(テーブル4)

 

2、政府の「対応が効果的」と評価している人は世界平均で22%しかいません。日本ではわずか8%で、全62カ国のうち低い方から4番目です。(テーブル5)

 

3、腐敗していると見られている部門は、世界全体では政党、政治家、企業、警察の順です。日本では宗教団体が政党に次いで2番目(政治家と同順位)に腐敗していると見られていて、他国との大きな違いを見せています。医療機関も他国と比べて悪い数字となっています。外国に比較して日本での評価が高いのは司法機関です。(テーブル6)

 


解説

 

テーブル4(賄賂を支払った経験者%)

アフリカ(36%)やラテン・アメリカ(17%)、ヨーロッパ(2%)など地域ごとに大きな格差がありますが、同じ地域内でも国により状況はバラバラです。 アジア・パシフィックでは平均7%ですが、インドネシア(18%)、フィリッピン(16%)、パキスタン(15%)などに比べて、シンガポール(1%)、韓国・台湾(2%)、日本・マレーシア・フィージー(3%)は低い数字です。なお昨年の調査では日本は0%でした。

 

TIでは去る10月4日に腐敗認知指数(CPI)を発表し、国別の腐敗度を発表しました(詳細はTI−JのWebsite http://www.ti-j.org/をご参照ください)。

これはビジネスマンやリスク評価の専門家などが見た公務員・政治家のクリーン度を国別に測るものですが、GCBでの「賄賂を支払った経験者」の数値は、CPIの国のクリーン度と高い相関関係がありました(相関係数0.63)。

 

テーブル4 過去に賄賂を支払った経験のある人の割合

 Experience of bribery: bribe-paying the past year, all countries[1]

In the past 12 months have you or anyone living in your household paid a bribe in any form … 

Yes

No

Total sample

9%

91%

Africa

36%

64%

- Cameroon

57%

42%

- Congo, Republic of the

40%

59%

- Gabon

41%

59%

- Kenya

21%

79%

- Morocco

60%

40%

- Nigeria

38%

62%

- Senegal

29%

71%

- South Africa

5%

95%

Asia - Pacific

7%

93%

- Fiji

3%

97%

- Hong Kong

6%

94%

- India

12%

88%

- Indonesia

18%

82%

- Japan

3%

97%

- Malaysia

3%

97%

- Pakistan

15%

85%

- Philippines

16%

84%

- Singapore

1%

99%

- South Korea

2%

98%

- Taiwan

2%

98%

- Thailand

10%

90%

South East Europe

9%

91%

- Albania

66%

34%

- Bulgaria

8%

92%

- Croatia

7%

93%

- Kosovo

12%

88%

- Macedonia

9%

91%

- Romania

20%

80%

- Serbia

13%

87%

- Turkey

2%

98%

EU and other Western Europe

2%

98%

- Austria

2%

98%

- Czech Republic

17%

83%

- Denmark

2%

98%

- Finland

1%

99%

- France

2%

98%

- Germany

2%

98%

- Greece

17%

83%

- Iceland

2%

98%

- Luxembourg

6%

94%

- Netherlands

2%

98%

- Norway

2%

98%

- Poland

5%

94%

- Portugal

2%

98%

- Spain

2%

98%

- Sweden

1%

99%

- Switzerland

1%

99%

- United Kingdom

2%

98%

Latin America

17%

83%

- Argentina

6%

94%

- Bolivia

28%

72%

- Chile

7%

93%

- Colombia

7%

93%

- Dominican Republic

23%

77%

- Mexico

28%

72%

- Panama

8%

92%

- Paraguay

26%

74%

- Peru

21%

79%

- Venezuela

21%

79%

North America

2%

98%

- Canada

3%

97%

- USA

2%

98%

Newly Independent States

12%

88%

- Moldova

27%

73%

- Russia

8%

92%

- Ukraine

23%

77%

Other

 

 

- Israel

4%

96%


 

 

テーブル5(政府の対応への評価)

これは今回初めての調査項目です。CPIが高い国の政府が必ずしも国民から高い評価を受けているとは限りません。ヨーロッパや北米などの先進国では、日々の賄賂の支払いは少なくても、国民が政治やビジネス分野での腐敗に高い関心を持っているからだと思われます。たとえば北米(アメリカ・カナダ)では「対応が効果的」(Very effective + Effective)と思う人が19%ありますが、逆に「政府が腐敗を助長している」(Does not fight but actually encourage it)と答えた人も19%あります。

一方、賄賂の支払いが一番多かったアフリカでは「対応が効果的」と答えた人が44%もあり、「政府が助長している」と思う人は9%しかいません。これはアフリカやラテン・アメリカでは、腐敗が国民生活に重要な影響を及ぼすものとして、政府が反腐敗を大きな政策として掲げていることがその理由だとTIでは分析しています。

 

日本はどうでしょうか?

上記のような事情があるにしても、「対応が効果的」と答えた人は8%しかいません。これは全62カ国中で、パラグアイ4%、クロアチア5%、ウクライナ7%に次いで4番目に少ない数値です。5番目がメキシコ9%です。ちなみにアメリカ16%、イギリス25%、フランス15%、ドイツ12%、イタリア27%、カナダ35%、ロシア20%と、いずれも二桁です。

OECD諸国を始め先進諸国からは、日本政府が汚職・腐敗への取り組みを真剣にやっていないとの批判を従来から受けていますが、批判をしているのは諸外国だけではなかったのです。日本の国民も、政府は汚職・腐敗に対して真剣に取り組む気がないと批判しているのです。

 

テーブル5   政府の対応が効果的」と評価している人の割合

How respondents assess their government’s fight against corruption, all countries

How would you assess your current government’s actions in the fight against corruption?

Very effective

Effective

Not effective

Does not fight at all

Does not fight but actually encourages it

DK/NA

Total sample

5%

17%

38%

16%

15%

8%

Africa

17%

27%

24%

20%

9%

3%

- Cameroon

5%

12%

41%

15%

21%

6%

- Congo, Republic of the

10%

10%

25%

15%