コラプション・ファイターのための新刊書案内
「銀行が喰いつくされた日」
共同通信社社会部著 講談社+α文庫 2003年5月
本書は、元々は99年3月から9月にかけて、地方紙に連載されたものである。
多数の記者が日々書き継ぐ連載物としての制約に加え、事件自体がもはや風化してしまった結果かもしれないが、ドキュメンタリーとしての鮮度は乏しい。
追及する事件が大きすぎること、登場人物や事件の数が多すぎること、(取材の限界もあるのだろうが)インタビューした人物が恣意的に思われること、その結果内容に迫力を欠く体裁となってしまっている。
二つの巨大銀行が破綻に至るには相当複雑な要因がある筈だが、それを銀行設立時点から遡り、長期にわたって支配した経営者から、負の遺産を引き継がされた破綻時の経営者に加え、イ・アイ・イを初めとする主要債務者、裏社会、政治家、旧大蔵省、金融庁、飛ばしの相方となったノン・バンク子会社群、提携外資、合併候補銀行、更には地検と警視庁の対立まで、多種多彩な人物や組織が走馬灯のように目まぐるしく駆け巡っていく。その結果、密度が薄くなっている。
元日銀理事で、旧日債銀から変わったあおぞら銀行の社長となった本間忠世氏がわずか16日後に唐突に死亡した事件にも本来深い深い闇があるはずだが、踏み込んではいない。
読み応えのある連載物だったであろうことは推測されるが、一冊の単行本としては焦点を欠き、真実を追究する姿勢も弱い。
それでも、破綻した2行に限らず、日本の銀行経営者や監督官庁の指導が如何に劣悪であったかを窺い知るには十分な内容であり、しかもこの問題は現在も進行形である恐ろしさを理解させてくれる一冊ではある。
(K.Y)
2003.8.5