コラプション・ファイターのための新刊書案内

「誰も書かなかった日本医師会」
水野肇著 草思社刊 2003年8月
著者は社会部記者から独立し、永年医事評論家として健筆を振るっている。
今日の老齢化問題を早くに見通した著者の「老年学」シリーズは、四半世紀前の著書とはとても思えないほどの先見性に満ちたものである。
昭和も遠くなりつつある時代に、武見太郎、或いは「喧嘩太郎」という明治人の名前は遠い過去のものとなってしまった。だが、「日本医師会」という得意な圧力団体はこの名前なしには語れない。
本書は、日本医師会を四半世紀にわたって支配した武見太郎を初めとする歴代の「日医」会長との交流や秘話を通して、その三分の一が「欲張り村の村長さん」といわれるわが国の医者や、それと交差する「夢とロマンと反省のない」厚生官僚、目先の利権以上の理解が出来ない族議員達の行動様式を明らかにしていく。
著者には昔から断定を避ける書き振りが窺える。それはたぶん著者の良心から出るものだろうが、このような人物論ではやや焦点がぼやけてしまっているように思われる。
ともあれ、危機に瀕するわが国の医療と、不祥事が頻発する医療現場の現状を憂え、今後の展望を考えるためには参考となる一書である。
(K.Y)
2003.8.15