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「地球の水が危ない」 高橋裕著 岩波新書 新赤版 827 2003年2月
水に関わる腐敗・汚職は世界に冠たる土建国家であるわが国のみならず、世界各国で枚挙にいとまない。巨大ダム建設は、汚職の格好の舞台であるだけでなく、環境破壊の最たるものでもある。 だから水問題は、コラプション・ファイターが避けて通れない課題のひとつである。 著者は河川工学の権威として、永年内外の水問題と水行政にかかわってきており、本書は瞠目すべきトピックスに満ちている。 著者は、「地球は水で病んでいる」といい、その原因は「人間の節度を欠いた活動」にあると断言する。しかも、水問題は世界で同時進行しており、「21世紀の水戦争」というイスマエル・セラゲルディン世銀副総裁の発言も引用して、警鐘を鳴らす。 考えてみれば、わが国では永年「水と空気と安全はタダ」ということが言われていた。今やいずれも値段が付き、しかも高いほど価値がある経済財となってしまった。 それでも、温帯モンスーンの島国という立地から、資源に乏しいわが国とはいえ、水資源だけは世界に隔絶した好条件を有していると考えられてきた。 著者は、わが国は水資源の征服を実現し、この結果大いなる経済繁栄を成就したと述べている。それでも、近年は水道水を嫌い、輸入飲料水が急増しているほか、農産物や食料等輸入品に使われる「間接水」を大量に使っていることの危うさを指摘している。 国外を見れば、人口増と環境破壊による世界的な水不足・水汚染や陸地の半分近くを占める国際河川・国際湖を巡る紛争の頻発を懸念している。 上下水が完備していて当然と思い、ファッションの様にさまざまな飲料水を飲み比べる多くの日本人には、いずれの指摘も驚きに満ちている。 著者は、最後にかって武田信玄の時代から水問題を上手く解決してきた日本人の歴史的使命とアジア・モンスーン地帯の水の重要性を強調し、世界にむけての行動の必要性を訴えている。 一方で、わが国政府の水関連5省(国土交通、農林水産、厚生労働、経済産業、環境各省)の縦割り行政の弊害は、指摘するのみに留まっているのは少し残念な気がする。 (K.Y) 2003.06.16 |
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トランスペアレンシー・ジャパン設立準備会
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