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「国境を超える市民ネットワーク」 「トランスナショナル・シビルソサエティ」 目加田説子著 東洋経済新報社刊 2003年3月 本書は、ユニークな書物である。著者が「はじめに」で記しているように、元になったのは著者の博士論文であり、本書はまず学術書である。一方、具体的事例の記述には、著者のノン・フィクション・ライターとしての資質が窺われ、エキサイティングな読み物となっている。 この十数年間「政府の失敗」の標本のようなわが国では、医療・福祉、教育、犯罪摘発、環境、雇用等々行政や企業が対処しきれなくなった問題が累積してしまっている。 このような諸問題は、個々の市民やその緩やかな結合体である市民運動が取り組むしかなくなっているが、近代市民革命を成し遂げられなかったわが国では、その展望は未だ見えない。 世界的に見ても、冷戦の崩壊によって、政治・経済・軍事面でますます驕りを高める覇権国が推進するグローバル化・市場化・民主化の結果、数多くの国民国家が処理できない問題が増大する状況をもたらしたと、著者は分析する。 これら諸問題が国家の枠組みを超えてグローバルになっていくので、その有効な対処策としての市民運動も国境を越えた広がりを見せていく。このような市民運動が、トランスナショナル・シビル・ソサエティ(TCS)と呼ばれるものである。 本書は、そのTCSの歴史的由来と、代表事例、及び将来展望を解説した入門書である。 著者は、3つの事例を取り上げ、その成功要因を詳しく分析している。 1. 地球温暖化防止問題に取り組むNGO「気象行動ネットワーク(CAN)」 2. 対人地雷全面禁止条約に取り組んだ「地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)」 3. 国際刑事裁判所設立を促した「国際刑事裁判所を求めるNGO連合(CICC)」 その語り口は、まるで「孫子の兵法」かMBAの事例研究を読む面白さがあるが、最後に以下のような成功への鍵を導き出す。 1. 過去の成功体験に学ぶ、 2. たとえ国際的な合意を得るための影響力を発揮できなくとも、交渉過程の議論に影響を与えることの重要性、 3. 独自の情報収集とその提供の重要性、 4. 政策提言能力とロビー活動、 5. 利害の一致する国々との連携と支援 このようなアプローチや成功例は、コラプション・ファイターのみならず全ての市民運動の活動戦略に大いに参考となる。 又、業界団体や抵抗勢力が金に飽かせて作る似非TCSもある中で、著者が指摘する4つの正当性の指摘は重要である。 1. 道徳的正当性、 2. 能力的正当性、 3. 政治的正当性、 4. 法的正当性(但し、これは法的存在である必要性を意味しているわけではない) 市民運動が政治的活動である以上、時代に即応した戦略が必要であり、本書はグローバルな視野からその示唆を与えてくれる。 (K.Y) 2003.06.16 |
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トランスペアレンシー・ジャパン設立準備会
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