ウォール街の大罪 投資家を欺く者は許せない!
 / アーサー・レビット/著 小川敏子/訳 
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「ウォール街の大罪 投資家を欺く者は許せない!

アーサー・レビット著 日本経済新聞社刊  20033

 エンロン破綻後、ウォール街の様々なスキャンダルが露呈されたが、そのときに活躍したのはSEC(米証券取引委員会)ではなく、ニューヨーク州司法長官のエリオット・スピッツァーであった。

当時のSEC長官はハーベイ・ピットといい、ウォール街のインベストメント・バンクやエンロンと共に消滅したアーサー・アンダーセンのような大手会計事務所を上得意とする弁護士で、名誉欲の塊のような人物であった。

 彼はその後相次ぐスキャンダルが暴露された結果辞任を強いられ、現在は強面の元証券マン、ビル・ドナルドソンが後を引き継いで改革を進めている。

 SECという政府機関は、金融危機や証券スキャンダルでもなければ、非常に地味な組織であるが、米国証券業の発展と近代化には大いに寄与してきた。

(ちなみに、わが国ではそれに相当する機関はない。日本経団連や民主党などが日本版SEC設立を提言しているが、金融庁の中に証券取引等監視委員会と呼ばれる小規模な組織があるのみというのは、わが国の証券業の後進性を示している。)

 SEC長官としては、二人の名前が歴史に残っていると言える。一人は、かのJ.F.Kの父親であるジョセフ・ケネディであり、もう一人が本書の著者であるアーサー・レビットである。

レビット委員長は、ウォール街や会計事務所、議会の様々な圧力を受け続けた。実際、十分な予算を得られないため、人材の流出に悩まされ続け、犯罪摘発も思うに任せなかった。それにもかかわらず、歴代最長の8年に及ぶ在任期間中「投資家保護」に徹した彼の地道で、堅実な証券行政とその強力なリーダーシップは現在でも高く評価されている。

 本書は、一般の投資家に証券業や証券業者とはどういうものかを平易に解説したものである。彼の在任中の事件や話題を数多く取り入れているため、物語としても大変面白い読み物となっている。

 又、興味深い警句にも満ちている。

例えば、投資信託(ファンド)についての、オマハの賢人ウォーレン・バフェットの言葉:「ファンドの取締役はドーベルマンではなく、チワワの犬舎から選ばれている」

例えば、エンロンの社外取締役で監査委員会議長であった元スタンフォード大学会計学教授ロバート・ジャディックの言葉:「私たちは、この企業を経営しているのではありません。会計監査をしているのでもありません。探偵ではないのです。」

 兎も角、証券というカジノに飛び込みたい人やどっぷり浸かっている人は、是非ご一読を!

                      (K.Y)

2003.06.16

 

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最終更新日 : 2003/12/25